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ライフプランを叶える投資 ~人生100年時代におけるお金の役割~

貯蓄から投資へ。今、お金にまつわる私たちの環境は急速に変化しています。
株式会社グレイスグループ取締役社長 丸山祐子氏を迎え、人生100年時代を支える投資の在り方について、セゾン投信株式会社代表取締役社長CEO兼COO 園部鷹博氏に話をうかがいました。

Text:Natsuko Sugawara
Photograph:Masahiro Dozaki
表紙:赤城自然園


園部 鷹博(そのべ たかひろ)
セゾン投信株式会社 代表取締役社長CEO兼COO

神戸大学卒業。資産運用業界での多様なキャリアを経て2018年セゾン投信入社。同社事業推進部長として販売会社経由での長期積立投資の拡大に従事。19年同社取締役兼事業本部長。20年6月同社代表取締役社長COOに就任。23年6月より現職。

写真左

丸山 祐子(まるやま ゆうこ)
株式会社グレイスグループ 取締役社長

東京大学大学院修士課程修了。NEC(日本電気株式会社)、野村證券株式会社を経て、クックパッド株式会社にて広報・IR・人事などのマネジメントを経験。2017年から株式会社ポピンズシッターの代表取締役を務める。23年、卵子凍結サービスを行う株式会社グレイスグループに参画。

写真右

◆貯蓄から投資へ
 お金の意識改革

人生100年時代に
備えるべきこと

丸山 投資については素人なので、今日はいろいろとおうかがいしたいと思っています。
まず、今「人生100年時代」と言われていますが、人生もお金もそれほど長いスパンで考えていかなければならないのでしょうか。

園部 僕は間違いなくその必要があると思っています。
2016年に出版された『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社)が話題になって、それから人生100年時代という言葉が出てきましたが、当時は100歳まで生きるわけないと皆が思ったんです。
でも、今は誰もが100歳まで生きる可能性を信じて疑わない。やはり100年を前提にして、人生もお金のことも考えなければならないと思います。

丸山 長生きする分、お金も必要になってきますね。

園部 年金制度ができた当時は55歳で定年を迎え、60歳から年金をもらい始めて、人生70年くらいで終わりを迎える。
年金は定年してから10年くらいしか支えることができない制度設計なのに、65歳で引退したらその後の人生は30年、40年もある(注1)。
それを国が支えるなんて無理なので、僕は長い人生を謳歌するための設計構想を自分で組み立てたほうがいいのではないかといつも思っているんです。

注1)各種高齢化への制度対応は行われています。

丸山 すばらしい考え方だと思います。実のところ、私は100年のライフプランというのはなかなか難しいなと思っておりまして。自分自身が独身だった頃の人生に対する考えと、結婚・出産をして、子育ても中盤に差しかかった今の考えとでは、かなり違います。
若い世代に「人生100年時代だから将来について考えておこう」と言っても簡単にはできないと思うんです。
ただ、園部さんがおっしゃるように、生き方もお金のことも長期的な視点は大切です。
そこで、「人生とは」みたいなものではなく、「将来に対してこんな選択肢があるよ」という切り口で、いくつかの選択肢を若い世代に提示すれば、遠い未来も少しはリアルに感じられるのではないかと思っています。

園部 なるほど。具体的にはどんな取り組みをされているのですか。

丸山 弊社の話で恐縮ですが、30年前、20年前の自分を思い返して、「当時はやらなかったけれども今知っていたらやりたいと思うこと」というのを洗い出してみたんです。
そのひとつが、婦人科系の病気をケアすること。それで今、女性の婦人科系疾患に対する予防医療に取り組んでおります。若いときはよほどのことがないと婦人科を受診しようとは思わない。
でも、生理不順だったり生理痛だったり、解決できるけど放置している問題を多くの若い女性が抱えています。その若い世代が「将来のため、予防にお金をかけよう」と考えるようになれば、それは大きな変化だと言えます。

園部 僕は20代の頃、今日さえ楽しければいいという人生を過ごしていたので、おっしゃるとおり、その気づきは大事だと思いますね。

積立投資なら
買い時を気にせず始めやすい

丸山 お金の運用についても昔と違い今は選択肢が増えて、2024年から始まったNISA(少額投資非課税制度)改正やiDeCo(個人型確定拠出年金)の改革も含め、多様化していますね。

園部 ただ資産運用をするときの王道といえば、やっぱり株式だと思います。
でも個人の方が株式で運用する場合、どうしても銘柄の分散は難しい。
だとすると、株式を組み込んだ「投資信託」というものはいくら選択肢が増えようとも個人の方が始めるには最も合理的だろうと思います。
丸山さんも証券に携わっていらしたそうですが、その点はどのようにお考えですか。

丸山 証券会社に勤務した経験はありますが、自分の資産となると私もプロに任せるほうがいいと思っています。

園部 僕も投資信託を使って資産運用していますよ。日々忙しく仕事をしている中で、個別の株式を調べる時間なんてありませんから。

丸山 でも、今は金融リテラシーも高まりつつあって、投資については急速に関心が集まっていますね。

園部 NISAにしても注目度は高いと思いますが、実際利用している方はまだ少ないのではないでしょうか。
例えば、家計の金融資産をアメリカと比較すると、日本は預貯金が50%以上、対してアメリカは13%前後です(注2)。
ですが、これは国の金融政策や制度が導入されてからの経過年数による差が大きい。
アメリカでは確定拠出年金(401k)が1978年、イギリスではISA(少額非課税口座)が1999年、ドイツではリースター年金が2002年に導入されました。
日本も以前から制度はありましたが、国が本腰を入れたのは2024年のNISA改正やiDeCoの改革からです。アメリカやヨーロッパは長期的な投資の成果が積みあがって預貯金の比率が相対的に低下した。
それは、日本の20年後、40年後の姿とも言えるでしょう。

注2)令和4年10月現在 内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局「資産所得倍増に関する基礎資料集」より

丸山 なるほど、日本はこれからということですね。
ただ、日本の風潮として「我慢して何とかする」という傾向が強いので、若い世代も「お金を使わないこと」を頑張ってるように見えます。
「お金を増やす」という考え方になかなか切り替わらない。

園部 最初の一歩までに時間がかかるのでしょう。でも思い込みもすごくあると思っています。例えば、こどもが生まれたら将来に備えて学資保険に入るじゃないですか。僕も娘が2人いますが、学資保険は考えたことがありません。
それよりも、大学に行くまで18年間という時間がある。その時間を使って投資信託で積み立てたほうがいいと思って、それぞれの名義で毎月積み立てているんです。

丸山 お話をうかがいながら、「あ、一緒だ」と思いました(笑)。
実はうちも娘の口座があって、毎月積み立てています。

園部 よく今が買い時かどうか質問されますが、毎月継続して買えば「いつ買うべきか」という悩みからも解放されるので、積立投資というのはすごく始めやすい方法だと思いますね。
2024年からはセゾン投信でもセゾンカードを使って積立ができるようになったので、より手軽にスタートできます。

株式投資の意義と
本質的なお金の役割

園部 僕も若い頃は投資なんて考えませんでしたが、自社株だけは買っていました。社員持株会で勤務先の株式を買うことができたので、何の気なしに毎月買っていたら退職するときに意外と増えていたんです。それが僕にとっての最初の株式投資で、銀行に預金するより株を買い続けるほうがいいのだとあのときの経験で実感しました。

丸山 企業にも国にも、そういった選択肢を増やしてもらえると始めやすいですね。

園部 僕は制度を利用するのはすごくいいことだと思っています。
NISAかiDeCoかではなく、どちらも全く違う制度なので両方使ったほうがいいと思います。

丸山 私も最初に勤めたときからずっと確定拠出年金を続けています。あとは、自分が世の中に普及させたいサービスや事業という観点で勤務先を選ぶことが多かったので、持株会の制度を利用して仕事とリンクさせながら投資をしていたこともありますね。

園部 株式投資というと、どうしてもお金を増やすためのツールのように思われがちですが、僕は株式を買うことの意義をもっと皆さんにご理解いただきたいと常日頃から思っています。
グレイスグループもセゾン投信も株式会社の形態をとっていますが、手がけるものやサービスは違っても、世の中の役に立ちたい、人々が喜ぶものやサービスを提供したい、そう願う人たちの集合体が株式会社です。そういった人々から喜ばれ支持される会社を応援するのが投資の本質だと思うんです。
そこをしっかりと理解できれば、単にお金が増えた減ったという目先の利益より、社会が良くなっていくためのアクションとして株式投資を捉えることができる。投資の世界ももっと良い方向へ広がっていくはずです。

丸山 確かに、かつては企業のインテグリティや人的資本経営といった点で、実際の株式価値と本当に連動しているかどうか疑念があった時代もありましたが、最近はそこが繋がるようになってきたと感じます。

園部 おっしゃるとおりですね。
1970年代に遡ると、利益に関係ない環境対策に企業は全く乗り気ではなかった。でも今は環境対策をやらない上場企業なんてあり得ないですし、投資の対象としてみなされません。
環境対策だけでなく、女性の活躍や多様性といった面でもそうです。

丸山 弊社が今手がけていることに繋がりますが、結婚・出産・育児と仕事を両立することがもっと当たり前な社会にしていきたいと考えていて、それにはやはり企業のサポートが必要となってきます。
日本は不妊治療大国と呼ばれていますが、不妊治療を始める年齢が非常に遅い。年齢が高くなると成功率も下がります。
卵子凍結もひとつの選択肢ですが、まずもっと手前の段階で不妊予防ができて、出産して育児をしながらでもキャリアは何事もなかったかのように継続できる、そんなライフプランを描ける世の中になればと。

園部 日本人はライフプランも画一的でこうあるべきという固定観念が強いですね。僕は働き方も生き方ももっと自由でいいのではないかと思います。
一度しかない人生で何をやりたいか、夢や希望や目標があってこそライフプランを立てることができるし、そこで初めてお金の話も具体的になります。日本人はお金の話をあまりしたがりませんが、自分が輝かしく生きていくためのライフプランが明確であれば、堂々とお金についても話せるはずです。結局、お金はやりたいことを実現するためのツールにすぎません。
ですから夢や希望も描けずに生きていたら、たとえお金がいくらあっても幸せではありません。そういう本質的なことが言われないまま、NISAにしても多くの金融機関が訴求していますが、こういった物事の本質はとても大切で、これからも言い続けていきたいですね。

ビジネスを育てる感覚で
おおらかに構えて投資する

丸山 最後におうかがいしたいのですが。
NISAにしても、ライフステージが異なる若者とシニア世代では訴求する内容も変わってくるのでしょうか。

園部 年代によって確かに違いますが、共通して伝えたいのは「やめないこと」です。
株式を持つと価格変動のリスクばかりを警戒しがちですが、物価に対応していくとか、長い人生を乗り越えるために自分の金融資産の安全性を保つという意味では、インフレ耐性の観点から株式投信のほうが耐性は高く、預貯金のインフレ耐性は低い。そういう意味でも「やめずに長く続けること」が秘訣ですね。

丸山 やはり時間というのは有利に働くものでしょうか。証券会社時代の同僚も、リーマン・ショックが起きて株価が暴落しても臆せず買い続けていました。
あとから考えるとすごいと思いますが、でもそれが正解だったようです。

園部 個人の方が使える最大の武器は時間だと思います。それと、日本だけでなく海外の株式にも投資すること。海外には日本にない産業や、日本と違う成長機会があるので、一定割合は海外に振り分けておくべきでしょう。

丸山 資産運用においてもグローバルな視点は大事なのですね。

園部 ただ、個人の方が国内の限られた情報で海外の株式を判断することはなかなか難しい。日本は海外投資というとアメリカばかりですが、ヨーロッパにもすてきな会社がいっぱいあります。
例えばドイツにはBMWやメルセデス・ベンツ、フランスならエルメスやルイ・ヴィトンなどすてきなブランドを持っている会社があり、安定的に成長しています。そこは配分も含めて投資信託に任せてしまったほうが賢いです。

丸山 はい、私もプロに任せたいと思います。それと、お話をうかがって思うのは、投資は一喜一憂せず長い目で見ていくことが大切ですね。

園部 そのとおりです。例えば、経営者もビジネスパーソンも、どうビジネスを伸ばしていこうかと模索する中で、人に投資したり物に投資したりします。
つまりビジネスに投資は常につきまとう。
でも個人的な投資となると、急に皆さん別物と捉えてしまう。そうではなくて、ビジネスと同じような感覚でじっくりと時間をかけて成長させていってほしいと思います。新規ビジネスは1年、2年かけて成長させていく。株価だけがいきなり明日明後日で倍になることは考えにくい。そういう観点で投資を続けていただくと、おおらかな気持ちで資産形成に臨めるはずです。


◆安定的な資産運用とNISAについて

これから資産運用を考える人に向け、「長期」「積立」「分散」といった安定的な資産運用のポイントと、新たに改正されたNISAのメリットを解説。

長期投資

ライフプランを見据えた堅実な資産形成を望むなら、まず「長期投資」を念頭におこう。下図は、1989年以降、毎月同額を国内外の株式と債券に積立投資し、5年間と20年間の保有期間で比較している。5年の場合は収益にバラつきがあり、元本割れも。ところが20年だと収益は安定し、1989年以降のデータでは元本割れのケースもない。しかも長期だと複利効果が大きくなるので、運用資産も増えていく傾向に。

積立投資

「積立投資」とは、あらかじめ決まった金額を定期的に続けて投資すること。下図では、最初に4万円分投資信託を購入した場合と、毎月1万円分購入した場合を比較。少額でも毎月一定額を購入した積立投資のほうが平均購入単価を安く抑えられることがわかる。この購入方法を「ドル・コスト平均法」というが、購入単価が平準化され、その分リスクも軽減できる。相場に惑わされず、安定した資産運用が可能だ。

分散投資

経済がグローバル化するなか、私たちの資産も世界の経済成長の中で育てていくという視点が大切。投資先も国内だけでなく海外のさまざまな地域を対象にし、株式・債券・不動産など資産を複数に分散させて投資すること。ひとつの資産だけに投資し続けるよりも、リスクが分散されることで価格の変動による影響を低減できる。また、自分で資産配分を行うのが難しい場合、投資信託なら専門家があらかじめ設定した資産配分で運用できる。

新NISAと旧NISAの違い

NISA(少額投資非課税制度)の大きなメリットのひとつは運用益が非課税になること。
2024年に改正されたNISAではその非課税保有期間が無期限となり、限度額も大幅にアップ。
さらに制度が恒久化するので、より長期での投資が可能になる。

セゾン投信は「運用益が出ているお客さま比率」
ランキング第2位に

2022年3月基準(※その他事業者21社中)

セゾン投信は99%のお客さまが運用益が出ております。

当記事は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
投資信託は値動きのある有価証券等に投資しますので基準価額は変動します。また、銘柄ごとに設定された信託報酬等の費用がかかります。各投資信託のリスク、費用については投資信託説明書(交付目論見書)に詳しく記載されております。お申込にあたっては販売会社(セゾン投信含む)からお渡しする投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。当社の投資信託は信託報酬等(税込 最大年率1.34±0.2%程度)の費用がかかります。また、換金時の費用として信託財産留保額(0.1%程度)がかかります。
商号:セゾン投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第349号 加入協会:一般社団法人投資信託協会

※インタビューの情報は2024年1月1日現在のものとなります。


❖このインタビューを音声でCHECK!
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