クレディセゾン コーポレートフォント「SAISON Sans」が誕生しました!
クレディセゾンでは、日本のグラフィックデザインを牽引してきた故田中一光氏によって制作された「SAISON」ロゴデザインが、今日までブランドの象徴として受け継がれています。
グローバルな事業展開が急速に進むなか、クレディセゾンのブランドイメージに一貫性を持たせるために、この歴史あるロゴタイプを踏襲した欧文フォントの開発プロジェクトを発足。
フォントワークス株式会社と共同で、同社 書体デザインディレクター ヨアヒム・ミュラー・ランセイ氏が率いるチームを結成し、クレディセゾン初のコーポレートフォント「SAISON Sans(セゾン サンズ)」および「SAISON Sans Advance(セゾン サンズ アドバンス)」が完成しました。
このフォントを通じて、お客様へ安心と信頼を提供する コミュニケーションを形成することを目指しています。
歴史あるクレディセゾンのロゴタイプを継承するフォント(SAISON Sans)
「SAISON Sans」は、セゾンカードのロゴでもなじみがある、既存のロゴタイプを踏襲したジオメトリック(幾何学的な)サンセリフ体です。書体デザインディレクターのヨアヒム氏はこのロゴタイプを「幾何学的かつ型破りなデザインだからこそ、目を引き、愛されてきたのではないか」と語ります。
これをヨアヒム氏はクレディセゾンらしさと捉え、フォントへと落とし込んでいきました。
はじめに、既存のロゴタイプの詳細な分析を行い、全文字のプロポーションの見直しを開始。Mなどの尖ったオーバーシュート(※)をわずかに面取りする、視覚的な錯覚を考慮に入れた微調整を実施する、アウトラインをなめらかにするなどデザインを施しました。
これにより、クレディセゾンらしさがあふれるコーポレートフォントが完成。社内外への発信に向けた、さまざまなシーンで利用が可能となりました。
※オーバーシュート:フォントが一貫した視覚的高さを保つために、一部が基準線や中心ラインをわずかにはみ出す現象のこと
クレディセゾンの文化を未来へつなぐ。
伝統と先進性を備えたフォント(SAISON Sans Advance)
「SAISON Sans」よりさらに可読性を追及し完成したフォントが、「SAISON Sans Advance」です。均一なストロークで構成される「SAISON Sans」のアドバンス版として、コントラストの要素を加えました。線画の太さにわずかな変化を加えることで、カリグラフィの要素を取り入れつつ自然な抑揚を表現します。
これにより文章にエレガントで洗練された印象を与え、欧文の長文を組版する際には、読みやすさを一層引き立たせます。
開発者 書体デザインディレクター
ヨアヒム・ミュラー・ランセイの想い
なぜ、新たにフォントを作るのか
初めて会う方に「フォントを作っています」と話すと、「もう世の中には十分な数のフォントがあるのでは?」とよく尋ねられます。確かに、コンピュータのシステムフォルダには多くのフォントがあり、街中やインターネット、広告、地下鉄の標識など、文字が溢れています。このように、日常で目にする情報量の多さに圧倒されるのは当然かもしれません。
しかし、「フォントがたくさんある」という状況と「フォントが多すぎる」という問題は、実は別の話です。この問いに答えるには、まず「音楽や本、車、食べ物、スポーツ、映画、ニュース、さらには人々さえも、もう十分だと思いますか?」と逆に問いかけたくなります。
もちろん、フォントには機能的な必要性がある場面もあります。例えば、長文を読みやすくしたり、交通標識で目立たせたりする場合です。理屈で考えれば、標識はArial、書籍はTimes、ユニバーサルデザインのフォントで十分と言えるかもしれません。
しかし、私たちが生きるうえで必要なのは、物理的な生存だけではありません。私たちには、思考し、感情を持ち、文化や喜び、コミュニティを通じて成長するという側面もあります。単に生き残るだけでなく、豊かさを感じることが重要なのです。
そのため、フォントを「必要かどうか」だけで語るのは狭い視点にとどまってしまいます。デザインやアートの一環として、フォントは文化や進歩の象徴でもあります。文字が生まれ、印刷物に変わり、そしてフォントとして形を成すことで、時代の趣味やスタイル、価値観が記録され、語り継がれていきます。
「SAISON Sans」の作成について
クレディセゾンは、ライフスタイルに根ざした企業活動を通じて、文化を支え続けてきました。それでは「SAISON Sans」は、社会や文化に何をもたらすのでしょうか?
多くの人は、テキストのフォントに意識を向けることは少ないかもしれません。インパクトのあるデザインのフォントを除けば、一般的には、文章の内容が最も重要だからです。しかし、フォントは単なる情報伝達の手段ではなく、視覚的なスタイルとして感情を伝える力を持っています。
例えば、駅のアナウンスに親しみやすい声を使うことや、料理にスパイスを加えることと同じように、フォントもまた、メッセージを伝える「味わい」を与えるものだと言えます。それは「親しみやすい」「真剣」「モダン」「レトロ」といった印象を読者に届ける手段でもあります。
プロジェクト発足当初、クレディセゾンには少し堅いイメージを抱いていました。しかし、実際に会話を重ねる中で、タイポグラフィやアートに対する深い理解と情熱を持った素晴らしいクライアントであることがわかりました。
このプロジェクトでは、既存のクレディセゾンのロゴタイプのデザイン要素を基に、細やかな調整を重ねました。デザインの歴史やトレンドの変化を丁寧に調査し、広告のような大きな文字から書籍や説明書の中の小さな文字に至るまで、すべてのサイズで美しく見えるよう文字の形状を磨き上げました。
「SAISON Sans」は、クレディセゾンのブランドを継承し、現代的で洗練された印象を与えることができます。また、一貫性のあるビジュアルを作り出し、情報を明瞭かつ心地よく伝える役割を果たします。
新しいフォントがクレディセゾンのブランド価値をさらに高め、文化を支える一助となることを願っています。
SAISON Sans/Advanceの魅力をより知ることができる特設サイトが公開中!ぜひご覧ください!